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【書評】他人を見下す若者たち / 速水敏彦

他人を見下す若者たち / 速水敏彦
★☆☆☆☆(星1つ)

他人を見下す若者たち (講談社現代新書)

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あらすじ

根拠のない有能感に浸る若者が増えている!やる気がなく、謝まらず、他人を軽視し、すぐキレる若者たち。日本人の感情とモチベーションが大きく変化している。教育心理学の研究データが示す新しい日本人像。

Amazonより。

名古屋大の教授が書いた本ということで文体はちょっと固い。
どこかで見たことある本のタイトルだったから購入してみた。
だらだら読んでたら読み終わるのに一週間くらいかかったよ…
以下内容紹介と感想。

他者軽視と仮想有能感

作者は他者軽視(見下し)の原因を「仮想的有能感」だと述べている。
この「仮想的有能感」というのは、実際には有能ではないのにもかかわらず、他人よりも自分は優れていると錯覚してしまうことである。

努力は諸刃の剣であり、それによって目標を達成させることも可能だが、努力をつぎ込んだのに失敗した場合は、努力しない場合よりも深く傷つくことになる。現代の若者たちは後者の場合をひどく恐れているように見える。

テスト前に「勉強していないアピール」をするのもきっとこれ。
頑張ったのに他人に負けちゃったら自分は他人よりも劣っていることになってしまうからね。
これには納得した。

全体的に難しかった

新書の良いところは専門外の人には読みにくい論文を一般人でも分かるように噛み砕いて書かれるところだと思うんだけど、この本はデータと事実の羅列が多く、「だからどうした」ってなる部分が多くそこまで多く書かれていなかったので、難しく感じてしまった。

最後の最後(200ページ超えの本で5ページ程度だけだけど)で「仮想的有能感からの脱出」というタイトルで話が進む。だけれども、

1.しつけの回復
2.自尊感情の強化
3.感情を交流できる場を

と当たり前の解決策しか見出してくれていないのが残念。
データに裏付けられた予想外の問題をさんざん提起しているんだから、もう一歩踏み込んだ解決策を提示して欲しかった。
というか、結局何が言いたかったのかがよく分からなかった。

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感想

仮想的有能感」にスポットを当てて書かれていて、これによって他者軽視(見下し)が起きるってことは分かったんだけど、その事実だけが先行して特にためになるような話はなかったように思う。

前半部分は事実を淡々と述べるだけで正直退屈。
昔の人目線で「現代の若者は〜」みたいな論調で話が進むから、若い人が読むと多少イラッとするんじゃないかなと思う。「こういう若者に限って〜」とか書かれていると読んでてイラっとするよね。

後半部分ではデータを元に現代の若者の行動パターンや感情パターンが書かれているんだけど事実の列挙で読んでて面白いなと思う部分はそこまでなかった。

こういうのを読む人はきっともっと歳を重ねた人なんでしょう。若い人が読むことで(少しイライラするのを我慢すれば)メタ認知能力が付くかも。

論文なら良いと思うけど、せっかく新書にするならもっと惹きつけられる内容が良いね。

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