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【音楽】フェイクワールドワンダーランド / きのこ帝国

フェイクワールドワンダーランド / きのこ帝国

★★★★★(星5つ)

フェイクワールドワンダーランド

きのこ帝国とは?

きのこ帝国とは日本のオルタナティヴ・ロックバンド。
2007年結成、2008年から本格的にライブ活動を開始。ポストロック、シューゲイザーに影響を受けたサウンドで下北沢、渋谷を中心にライブ活動を展開中。

きのこ帝国

メンバー
佐藤(佐藤千亜妃)- 作詞作曲/ギター/ボーカル
あーちゃん - ギター
谷口滋昭 - ベース
西村"コン" - ドラム

wikipediaより

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待望の2ndフルアルバム

前作eurekaから約一年半。
きのこ帝国待望の2ndフルアルバムがリリースされた。
とにかく聴きこめる一枚。

収録曲
#1.東京
#2.クロノスタシス
3.ヴァージン・スーサイド
#4.You outside my window
5.Unknown Planet
6.あるゆえ
7.24
#8.フェイクワールドワンダーランド
9.ラストデイ
10.疾走
#11.Telepathy/Overdrive

#をつけた曲については下で軽く感想を書きました。

よりキャッチーな方向へ

今までのきのこ帝国はミュージシャンのためのミュージシャン、コアなファンのためのミュージシャンという立ち位置で、大衆ウケする曲は少なかったように思う。(まあそれでもファンはある程度付いてたけど)
実際、僕が「きのこ帝国」を知ったのはART-SCHOOLのボーカル木下理樹からだったし、きのこ帝国のボーカル佐藤本人も、アルバムEureka内で以下のように歌っている。

富とか名声とかどうでもよくて

嗚呼、なんかぜんぶめんどくせえ

春と修羅」より

決して大衆に迎合するような方向には向かわず、世間から一歩退いた立ち位置に居たようなイメージのバンドだったけれども、今回のアルバムでそれを払拭。
「めんどくせえ」の一言で片付けず、どっしりと腰を据えてリスナーを見つめているような印象を受けた。

wikipediaからの引用ではポストロックシューゲイザーに影響を受けた、と書いてあったけど、最近の音楽雑誌で「気に入ったものは何でも聞く」(記憶が曖昧で正確な表現じゃないのが申し訳ない)と書いてあった。

それの影響かどうかは知らないけれど、今回のアルバムではよりポップでキャッチーなメロディーの楽曲が多くなった。
良いものを純粋に良いと受け止め、ジャンルや流行にとらわれず良いと思ったものは何でも作る。
そんなきのこ帝国のストイックさが存分に現れたアルバムだと思った。

とまあ難しい言葉で書いたけど、最近流行りの言葉で表現すると、とにかく中毒性がある。

特に気になった曲

上にも書いたけど、アルバム全体を通し、ポップでキャッチーなメロディが並んでいる。
以前までの楽曲のシューゲイズ感、ノイズ感は少なくなって、洗練されたメロディーとボーカル佐藤の透き通るような歌声が響き渡る楽曲でアルバムが構成されてる。

01.東京

アルバム先行100円シングルCDにもなったこの曲。
追加プレスも出たくらいの人気っぷり。これできのこ帝国を知った人も多いと思う。

綺麗なメロディーとそれに乗ったストレートな歌詞。

日々あなたの帰りを待つ
ただそれだけでいいと思えた

PVの映像の綺麗さ。あーもう全てが素晴らしい作品だ。

「東京」というタイトルはとにかくハードルが高いと個人的に思っている。
くるり銀杏BOYZYUIなどの名だたるアーティストが「東京」「TOKYO」という曲を書き、そのどれもが名曲。
きのこ帝国の「東京」もこれらの名曲に肩を並べるくらい、とても良い。

余談だけど、正直、この東京と後述するクロノスタシスで、自分の中ではこのアルバムに対するハードルがだいぶ上がってた。
「コレ以外の曲がショボかったらどうしよう」だとか「この2曲今までと全然路線が違うけど大丈夫か」とか。
だけどこれは完全に杞憂だったね。

シングル東京でハードルを越え、アルバムフェイクワールドワンダーランドでさらにハードルを越えてきた。

02.クロノスタシス

先行配信されたもう一曲。夜の散歩曲として自分の中で定着。
これを聴きながら散歩するのが日課になってる。ビールは飲めないけれど。

決してBPMは早くはないものの、身体が自然と横に揺れてしまうようなそんな楽曲。
こういうのをソウルって言うらしいね。あんまり詳しくはない。*1

PVにはボーカル佐藤が出演。
見れば分かると思うけど、カット割が無い一発撮りのPV。
撮影は下北沢。途中で胡散臭いキャラクターが出てきたりしてるね。

佐藤さん若いなーと思ってPV見てたけど、もう26歳なのね。
同い年か年下くらいに(勝手に)思ってた。
全然そう見えなくてビックリ。

5本缶ビール買って、5テイク以内にPVを終わらせようと。
そして無事4テイクで撮影が終わったらしい。
あああと、このPVを手がけてる人は関和亮さんって言って、
調べてみたらPerfumeとかフジファブリックとかのPVも手がけてる凄い人っぽい。

コンビニエンスストアで 350mlの缶ビール買って
きみと夜の散歩 時計の針は0時を差してる

缶ビールを買って散歩したくなるね。散歩しよう。

8.フェイクワールドワンダーランド

キャッチーさ、ポップス感のあるアルバムであることは何回も書いているけど、表題曲になっているこの曲は特にポップだと感じた。
アコギハーモニカリズムだけのシンプルな構成で、まるでNHKみんなのうたにでも出てきてもおかしくないようなポップさ。

一瞬の世界の美しさに
騙されて君と歩きたいのです

そして歌詞も美しい。

4.You outside my window

散々キャッチーだのポップだの書いたけれども、以前のきのこ帝国の面影が完全に無くなったわけではないと思った。

曲の冒頭の、

夜 未来 永い 怖い 夢 見る 終わり 明日 光 閉ざす 窓の中が 世界 夜 空 見上げれば そう 何も見えん 明日 来たる 明日を壊す妄想 阿保くせえ

っていう斜に構た歌詞で、「春と修羅」の

嗚呼、なんかぜんぶめんどくせえ
あいつになにがわかるってんだ
どうでもいいことばかり気になるから
午前三時にギターを弾いてる

とか、「夜鷹」の単語の羅列、

シリウス ベガ アルタイル ティコの星

を思い出した。

11.Telepathy/Overdrive

このアルバムの最後を飾る曲。
Aメロに何度も登場する

たぶんゲームオーバー

って歌詞とか、サビで繰り返される、

Telepathy/Overdrive
Telepathy/Overdrive
馬鹿な僕達だから
終わりは先のばしに

のフレーズがとにかく耳に残る。
同じ言葉の連呼*2、と言った観点で見れば最近の流行に乗ってると言っても良いのかも。

そしてこのアルバム、とにかく曲順が良い。
途中に挟まるUnknown Planet24のきのこ帝国初のインストソングも良い味出してるし、それを含めた全ての曲が調和しあっていて、先行リリースされた「東京」「クロノスタシス」の2曲もアルバムを通して聞いたらまた別の印象を受けるけれどもそれもまた良い。
11曲目のTelepathy/Overdriveを聴き終わったあと、また最初に戻って1曲目の東京を聞きたくなる。

とにかく完成度の高い一枚

好きなバンドだから贔屓目も少なからずあって、思わずアツく書いちゃったけど、まあそのくらい感動したアルバムだったってことです。とにかく完成度の高い一枚。
音楽が好きな人にはもちろん、音楽を普段聞かないような人にも胸を張ってオススメ出来るアルバム。
ノベンバとかクリープハイプとか好きだけど、そっちは人にはオススメ出来ないもんな。
もしかしたら僕の中で今年イチのアルバムになるかもしれない。必聴です。

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*1:フィッシュマンズも全然知らない。

*2:KANA-BOONとかね。